韓経:【コラム】貧富の差の解消が最高の成長戦略だ=韓国

  • 2016年9月29日

韓国は米国に次いで貧富の差が大きい国に挙げられる。所得の二極化で高所得層を中心にした海外観光・支出は増加しているのに対し、国内観光・支出は減少する傾向にある。

韓国の貧富の差は1997年の通貨危機当時から激しくなった。韓国経済が国際通貨基金(IMF)の要求に従って過酷な構造改革をする過程で、資本家の利益を最優先する「ニューエコノミー」が強調され、経営陣は資本利益を最大化するために強力な構造改革で企業の利潤を高め、株価の上昇を追求した。短期利益の最大化のために単純労働力を大量に解雇し、系列・下請け企業との協力関係も再編した。このため単純労働者が失職状態になったり非正規職に転換され、系列・下請け中小企業の経営構造も極度に悪化した。一方、構造改革が進むと、最高経営責任者を含む経営陣はストックオプションなどを通じてインセンティブを得ることができた。

こうした経営活動に成果がなかったわけではない。大企業を中心に経営構造が強まり、サムスン電子や現代自動車のような世界的な企業が出現するきっかけになったのも事実だ。しかしこの過程で中小企業の体質は弱まり、低所得層は増加したことで深刻な貧富の差が発生し、内需の縮小で韓国経済は不況に陥ることになった。

ニューエコノミーは世界的な現象であり、輸出が低調で投資需要も弱まるしかなく、不況からは簡単には抜け出せないだろう。現在としては低所得階層の所得を引き上げることが適正経済成長率を維持するための合理的な代案といえる。では、低所得階層の所得をどう高めなければいけないのか。

一つ目、先進国で定着している「同一労働同一賃金制」を積極的に推進しなければいけない。正規職に対する非正規職の賃金水準は欧州主要国が80%台、日本も60%台であるのに対し、韓国は50%台にとどまっている。韓国も同一労働の場合、非正規職の賃金を正規職の70-80%まで引き上げなければいけない。もちろん一気に上げれば企業経営に負担となるため徐々に高めていくしかなく、非正規職の労働生産性を引き上げる努力も併行する必要がある。非正規職の労働生産性を高める主体はもちろん政府だ。政府の予算で労働訓練センターを設立して分野別に技術・技能を強化する体制を整え、非正規職が賃金上昇分に相応する労働生産性の向上を実現できるよう導かなければいけない。

二つ目、創業支援センターを設置して会社員の退職後の創業の失敗を最小化することだ。早期退出する会社員が退職金で相対的に創業が容易な飲食店などを開業するが、ほとんどが数年以内に投資金を失って極貧階層に転落している。

三つ目、欠損家庭の子どもを優先的に保育施設に預けられるようにし、その親が就職できるよう積極的に支援しなければいけない。

低所得階層の所得増大のための事業には少なくない予算が必要になるだろう。この予算は当然、福祉予算から支出されるべきだ。福祉予算が一過性の支援事業ではなく、低所得階層の生産性向上に使われれば、国家競争力を維持しながらも低所得階層の所得は増える。貧富の差が縮小すれば内需と投資が活性化し、経済成長率を安定的に高めるだろう。

李鍾允(イ・ジョンユン)韓日経済協会副会長