韓経:【コラム】50年国債の発行、今が適期だ=韓国

  • 2016年9月23日

金利が過去最低だ。金利差も小さい。国債30年物(年1.62%)と10年物(年1.59%)の幅はわずか0.03ポイントにすぎない。長期国債の発行を増やし、財政資金の調達を安定化させる機会だ。政府が超長期の50年国債の発行を構想している理由だ。国内の生命保険会社も歓迎している。生保会社は営業の属性上、長期負債保有比率が高い。新国際会計基準(IFRS)が導入されれば、保険会社の負債評価基準が帳簿価格から市場価格に変わる。これは負債規模を増やす。増えた負債ほど長期資産をさらに買い入れてこそリスクが相殺されるが、適当な長期債券の不足で悩みが大きい。したがって50年国債の発行はプラスとなる。

こうした長所のほか、50年国債の発行は意味が大きい重大な事件だ。まず、超長期社債市場が新たに開かれる。31年から50年満期までの金融商品取引市場は過去になかった。危険資産に価格を付ける出発点は国債(安全資産)となる。50年国債があってこそ50年社債をいくらで売るか答えが出てくる。社債が適正価格で発行されるように基準点(ベンチマーク)を提示するということだ。韓国電力(韓電)は1996年3月、200億ウォン(約18億円)規模の100年社債を発行した。年8.28%の固定金利だ。100年間に1兆8000億ウォンを返済しなければいけない状況だ。早期償還を哀願するが、債権保有者が応じる理由はない。年8.28%が適正発行価格だったのだろうか。ベンチマーク(100年国債)がなければ発行費用が高くなる。基準点も分からない状況で購入者が要求する条件はすべて聞き入れなければいけないからだ。無謀な試みだ。

2つ目、財政政策の余力が補強される。国債の長期物構成比を高めるだけでもこうした効果が表れる。財政政策の余力は「国が耐えられる負債の最大値」(a)から「今の負債」(b)を差し引いた概念だ。(a)を増やしたり(b)を減らしてこそ財政政策の余力が増える。(b)を減らす緊縮財政は時に景気を冷え込ませる。国家負債比率も高まる。欧州の事例を見れば分かる。むやみに国の負債を減らすより(a)を高める政策が一枚上だ。50年国債の発行が(a)を拡大させる道だ。金利が上がった時点に満期が到来した短期国債が良い例となる。高くなった金利で借り換え発行しなければいけない。必要な金額を調達できないこともある。50年長期国債の場合は話が違う。借り換えリスクは心配でない。その次が核心だ。市場金利が上昇すれば市場価格で評価した国の負債が減る。国家がより多くの負債を抱え込む可能性があることを意味する。もちろん利下げは負債比率を高める。しかし金利の追加下落の可能性は小さいとみられる。対内外の金利が最低水準だ。

3つ目、韓国経済の危機対応能力がアップグレードされる。国債市場満期構造長期化による財政政策の余力拡大は韓国の対外信用度を高める。国債の格付けが上がる。格上げの最大の受恵者は企業だ。海外で発行する国内企業の債券の価値が上がる。債券発行費用も減る。

ところが開始前から懸念の声が聞こえる。超長期物の発行は政府をモラルハザードに向かわせるということだ。孫の世代に国の負債が押し付けるため、政府が負債の管理を徹底しないということだ。このような心配には正しい面があるが、圧倒されるほどのものではない。国家債務の限度を国内総生産(GDP)比45%以内に抑える法律(財政健全化法)が立法予告中だ。むしろ「45%上限」は過度に厳しいというという見方もある。欧州連合(EU)加盟国が守るべき上限は60%だ(「安定・成長協定」、Stability and Growth Pact)。孫の世代に及ぼす負担も行き過ぎた心配だ。むしろ小さくなることもある。50年後に支給する利子が現在の超低金利で固定されるからだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げの時期を見計らっている。史上最も低い金利でも発行できなければ果たしていつが適期になるのか。日本は永久債の発行まで議論中だ。小さなことを恐れて重要なことを逃してはいけない。50年満期の金融市場を持つ時だ。

カン・テス対外経済政策研究院研究委員