韓経:【社説】朴大統領の韓進海運批判…何か間違って報告を受けている

  • 2016年9月19日

韓進(ハンジン)海運法定管理(会社更生法に相当)で物流大乱が起きていることに対し、厳しい口調で大株主の責任を論じた朴槿恵(パク・クネ)大統領の発言にはただ驚くばかりだ。秋夕(チュソク、中秋)連休前日に開かれた国務会議で「企業の無責任とモラルハザードに物流大乱の責任がある」と大統領は意を決して批判した。「決して黙認しない」としながら激昂した感情も覗かせた。

被害を最小化しようという義務感の発露だというが、大統領発言としては非常に不適切だ。企業を生かそうとする政府と債権団の善意が、悪徳大株主のために挫折したという認識ならば大変な思い違いだ。韓進海運の大株主と経営陣を擁護するつもりは毛頭ない。「業界状況がもうすぐ良くなるだろう」という楽観ばかりで不渡りを出したことはそれ自体で大きな罪だ。しかも国家戦略資源である物流インフラを傷つけたとすれば弁解の余地はない。だが、韓進海運の大株主はすでにそれ相応の代価も支払っている。企業は裁判所の手に渡り、経営権は剥奪された。グループ系列会社の株価と信用等級も一斉に落ちた。大韓航空など系列会社の投資と韓進海運の自救額を合わせると2兆ウォン(約1800億円)に達する。その過程で2大株主だったS-OILの持分まで処分した。裕秀(ユス)ホールディングスのチェ・ウンギョン会長と産業銀行の要請を受けて韓進海運を買収した趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長が企業再生に最善を尽くした点は明らかだ。

大統領の発言は社会的責任を負って500億ウォンの私財を投げ出した大株主側に金をもっと出せとの圧迫に映る。権限はなく無限の責任を負うのは「有限責任主義」という株式会社制度の基本原理とも合わない。大株主だった大韓航空も同じだ。8200億ウォンを投入しようとして負債比率が1100%まで上昇し、その大部分を吹き飛ばすことになった。「一緒に死ね」と言うのではないなら大統領の叱責は何のためのものなのか。

大統領が本来厳しく追及しなければならない対象は無責任な債権団と無能な政府だ。債権団は2009年に海運産業構造調整に着手して以来「社債の迅速買収制」などで年率12%を越える高金利商売をしてきた。債券回収だけに重点を置いて会社を枯死させたという指摘が出るほどだ。ことし5月の自律協約以降は資金支援も切れた。政治的な意味合いで4兆2000億ウォンも投じた大宇造船とは対照的すぎる。韓進海運事態を見守っていた財界からは「やはり構造調整時は精一杯踏ん張ったあと、最後に資金を投じるべきだ」という自嘲が出てきているほどだ。

何より政府の責任が大きい。企画財政部と金融委員会は物流大乱に対する備えもなく、突然法定管理を決めた後も右往左往して被害を拡大させている。海洋水産部ははなから存在感がない。朴大統領の「大株主責任発言」は面皮に重点を置いた誰かの誤った報告だけを鵜呑みにしたことが発端である可能性がある。財閥の連帯責任というのは政府政策とも全くかみ合わない。