韓経:【寄稿】ゲームから目をそらせば「ポケモンGO」は出てこない

  • 2016年9月15日

モバイルゲーム「ポケモンGO」が世界的な関心を引いている。拡張現実という技術を通じ、スマートフォンを持って目標地点まで行き仮想のモンスターを捕まえるゲームで、各国の散策人口が増えたほど大きな反響を呼び起こしている。韓国で唯一ゲームが可能な地域である束草(ソクチョ)は思いがけない観光特需まで享受している。束草市長はゲームの登場人物の1人に扮装して観光客を出迎えたりもした。

興味深いのは同様の形態のゲームが何年か前の韓国でも発売されたという点だ。ところが大部分が失敗した。これらゲームとポケモンGOの差は技術や操作方式ではなく「ポケットモンスター」というコンテンツだ。人々がポケモンGOに熱狂した理由は以前になかった技術を実現したためでなく、20年前から同じ名前のゲームと漫画を楽しんできた人たちがその世界の主人公になれるゲームだったからだった。韓国のゲーム開発技術は世界最高水準であり、赤ちゃん恐竜ドリーやポロロなどコンテンツまで十分に持っている。だがポケモンGOのような成功作を作り出せなかった理由は、韓国社会の漫画とゲームの規則に対する理解力不足と無視に起因する。

子どもたちがままごと遊びする時にある子どもが新たに参加するには、単に手を挙げたからと入れるのではない。これまでの進行内容をしっかりと見て空いている役をすると申し出たり、流れに乗ったセリフを投げかけて入らなければならない。このようにすべての遊びにはそれなりの手続きとルールがある。同じように、ある話をスマホゲームとして活用するには既存の漫画の設定とルールがゲームの中で自然に具現されなければならない。

ポケットモンスターは主人公が世界を探険してモンスターを収集し成長させる話だ。ポケモンGOはこれを自然に具現した。こうしたゲームを作るには漫画の基本設定と、進行手続きとルールがなぜ面白さにつながるかを理解する専門家が必要だ。韓国にそのような人はいない。漫画とゲームを無視する社会の雰囲気のためだ。大人が漫画とゲームを真剣に見つめて理解しないだけでなく、子どもたちの接近も防ぐためだ。

ベストセラー『サピエンス』の著者ユバル・ハラリ教授は人類の繁栄の秘訣を「虚構を共有できる能力」と話す。国という虚構を共有した人々は互いを共同体構成員と認め信じ協力する。市場と貨幣、株式会社と保険も同じだ。こうした虚構を新しく共有するたびに人類の能力は飛躍的に発展し、経済規模も数十倍ずつ大きくなった。地球上で唯一人類だけが持つ想像力のおかげだ。

いまの韓国はどうなのか。依然として想像力より技術が重要な社会だ。問題は多くの技術がまもなく人工知能に代わることになるという点だ。そのため人間は想像の専門家にならなければならない。そうした想像が最も輝けるコンテンツがゲームだ。また人工知能に代表される21世紀の情報技術社会はこれ以上技術的な差別化を出しにくい。新しい技術はインターネットと発達した物流システムを通じて世界へすぐ広がるためだ。技術より重要なものが経験だ。差別化した経験をどのように提供し享受できるようにするかが新しい社会を左右することになるだろう。そのような経験の具現は以前の世代が無視したゲームと漫画のようなコンテンツを通じてなされるほかはない。そこに人類の最大の強みである想像力が集積されているためだ。

いまわれわれがすべきことはゲームを認めて支援することだ。ゲームを子どもたちのおもちゃ扱いして無視する既成世代の見方を変えなければならない。これを奨励し発展させなければならない。未来世代の競争力を左右するのはわれわれの世代がゲームをどれだけ理解し真剣に対するかにかかっていているためだ。

チャン・グンヨン韓国青少年政策研究院研究委員