韓経:【コラム】「中央銀行が成長を作るのは難しい」=韓国

  • 2016年9月14日

先月、米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれたカンザスシティ連邦銀行シンポジウムは、すべての投資家の注目を集める会議だった。今回の会議でメディアの関心を集めたメッセージは、上向く米国経済指標を勘案すると、年内に利上げする状況が強まったというジャネット・イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言だった。関心を受けられなかったものの重要だったのは、マイナス金利政策に対する主要国中央銀行間の明確な立場の違いだった。

日本銀行(日銀)の黒田総裁はマイナス金利政策で借入れと支出が増えて投資が拡大していると自国の通貨政策を擁護し、欧州中央銀行のクーレ専務理事はユーロ圏のマイナス金利政策は過度な政策や非道徳的な政策でないと正当性を強調した。イエレン議長は今後、追加の通貨緩和政策をする場合、買い入れ対象の債券を国債から拡大したりインフレ目標を高めて追加の量的緩和基盤を拡大し、名目国内総生産(GDP)をターゲティングする案に言及したが、マイナス金利の導入については言葉を控えた。

こうした立場の違いは各国の金融システムと経済構造によって政策の効果が異なるからだ。都市銀行が中央銀行に預ける資金に課すマイナス金利政策は現在、ユーロ地域、デンマーク、スイス、スウェーデン、日本、ハンガリーの中央銀行が導入している。これらの国は世界GDPの4分の1を占めていて、決して無視することはできない通貨政策手段として活用されている。米国では1930年代の大恐慌と2008年のグローバル金融危機の時に、日本では1990年代後半に一時的に短期国債収益率がマイナスに落ちたことがあるが、経済危機でない状況で広範囲に活用されたことはなかった。では中央銀行はなぜこうした政策を採択したのだろうか。

基本的に名目政策金利がゼロ水準に到達した状況で、デフレに対する中央銀行の強力な対応意志を見せながら拡大してきた量的緩和で買い入れ対象の債券が減り、従来の政策の効果が限界に達することになり、新しい通貨政策として推進したのだ。こうした対応が効果を得たかどうかはもう少し見守らなければならないが、今でも懸念の声が強まっている。

銀行の預貸マージン縮小により銀行の資金仲介機能が弱まり、引退に備えた個人の貯蓄拡大のため当初意図した消費・投資拡大をもたらすことができず、実体経済浮揚効果が制限的になるという主張だ。これとともに保険会社などの場合、ファンド収益率を合わせるために高リスク投資を拡大し、不動産証券など資産市場バブルが拡大する可能性があるということだ。

このような極端な通貨政策がどれほど持続するだろうか。マイナス金利が都市銀行の預金にまで拡大すれば、現金経済の拡大で銀行の仲介機能が顕著に弱まり、金融の安定性を阻害するだろう。一部の学者は経済主体の現金保有に対する費用負担を増加させることにより、マイナス金利政策の効果を倍加することができると主張する。その例としてケネス・ロゴフ・ハーバード大教授は最近出した著書『貨幣の呪い』で、100ドルのような高額券を廃止することで現金保有費用を高め、ほとんどの取引をクレジットカードや電子取引に変えようと主張する。

量的緩和を補完するためのマイナス金利政策は従来の通貨政策を越える極端な政策といえる。しかし効果は期待より小さく副作用が多いというのが問題だ。こうした政策が効果を発揮するには、拡大財政政策と構造改革を同時にする3頭立て馬車が必要だ。ランダル・クロスナー・シカゴ大教授の「中央銀行はデフレに対応できるが、成長を作り出すのは難しい」という言葉を実感する。

崔熙男(チェ・ヒナム)世界銀行常任理事