韓経:【コラム】TPP、手をこまねいている時なのか

  • 2016年8月25日

最近米ワシントンDCで環太平洋経済連携協定(TPP)は「突拍子もない」話として扱われる。TPPに言及しようとすれば「すべて終わった話をなぜまた取り出すのか」という反応から出てくる。TPP自体に問題が多く米国の議会批准が厳しいという指摘から、11月の大統領選挙を控え票が落ちる問題をだれが取りまとめるのかなど、理由は多様だ。

韓国の官僚らは「むしろ良いことではないか」と話す。米国でTPPが遅く処理されるほど対応する時間が増えるので韓国は急ぐ必要はないという論理だ。

水面下の流れをしっかり読み取ればこうした見方と主張は危険千万な錯視や誤算と言える。まずTPPを批准させるというオバマ大統領の意志と動きは尋常でない。

◇オバマ大統領、TPP批准で水面下の作業着々

彼は6日から夏休みを取りながら経済分野の長官らを全国に出張させた。ルー財務長官はミネソタ州でフォーチュン500大企業経営者と、テイラー農務長官はアイオワ州でトウモロコシ農家にそれぞれ会いTPPのメリットを広報した。この半月余りで30回にわたりTPPを広報する行事が開かれた。すべてオバマ政権が企画した行事だ。

オバマ大統領は時間さえあればTPPを説破する。2日に米国を訪問したシンガポールのリー・シェンロン首相と会談後の共同記者会見で「いまは私が大統領であり、TPPは必ず批准されなければならない」と話した。そして数日後にTPP履行法案を議会に送ると発表した。

TPPに強力に反対しているようなヒラリー・クリントン民主党大統領候補の発言は額面通りには受け止められない。彼女はオバマ政権の継承者を自認する。言葉では「いまでもTPPに反対しており、選挙後も、大統領になっても反対するだろう」と話している。

その一方で副大統領候補と政権引き継ぎ委員会委員長に代表的なTPP賛成論者を座らせた。彼女の最側近であるバージニア州のマコーリフ知事は「ヒラリー氏はTPPに賛成している。執権すれば議会で通過させるだろう」と話した。

米国としてはTPPを大統領選挙という一時的な枠組みの中に閉じ込めることはできない状況だ。中国は世界最大の市場に浮上したのに輪でかけてアジア・太平洋地域で通商・外交・軍事覇権を拡大している。中国が主導して設立したアジアインフラ投資銀行(AIIB)には米国の伝統友邦である英国が最初に手を挙げて加入した。オバマ大統領が昨年5月に米議会を粘り強く説得してTPP通過が円滑にできるよう貿易協定促進権限(TPA)処理を貫徹させ、5カ月で不可能だと予想されたTPPを妥結した主な背景だ。アジア・太平洋諸国と世界最大の貿易同盟のTPPを結んで中国を牽制するという対アジア戦略の「画竜点睛」だ。レイムダックセッション(大統領選挙以降から退任まで)に議会を説得しTPP批准を終わらせるというオバマ大統領の話はでたらめには聞こえない。

◇韓国、徹底して備えなくては

民主党のクリントン氏であれ、共和党のトランプ氏であれ、だれが次期政権を取ろうがTPP放棄は容易ではないものとみられる。中国と米国の間のグローバル力学関係がますます尖鋭化する見通しだ。TPP加入のタイミングを逃した韓国はTPPバッシングで投票者の心を刺激する米大統領候補のフレームに埋没し安心しては困る。米国政府と議会が「後からTPPに加入するには高い授業料を出さなければならないだろう」と機会があるたびに韓国を圧迫してきた点を忘れてはならない。

パク・スジン(ワシントン特派員)