韓経:【コラム】世界経済の「日本化」を懸念する

  • 2016年8月16日

先月、国際通貨基金(IMF)は今年の世界経済成長率予測値をまた3.1%に下方修正した。IMFは昨年1月、今年の予測値を3.7%で始め、3カ月後でこれを3.8%にやや上方修正した後、4回も引き下げた。そのたびに中国経済の転換によるハードランディング懸念、原油など原材料価格の下落、テロ・難民問題など地政学的なリスク、6月の英国の欧州連合(EU)離脱決定まで、さまざまな要因を下方修正の根拠として提示した。

成長の期待が低下すれば、中長期的には経済主体の消費・投資減少につながり、潜在成長率の低下を招くおそれがある。一方、英国のEU離脱の実質的余波は徐々に広がるが、英国とEUの交渉が順調に進まなければ貿易障壁の強化および金融市場の変動性と不確実性が強まり、来年の成長率が当初の3.4%から2.8%に低下する可能性があると、IMFは警告している。

こうした世界経済の成長動力喪失は数年前に話題になった「経済の日本化(Japanization)」懸念を思い出させる。この言葉はブルームバーグのコラムニスト、ウィリアム・ペセック氏の著書『ジャパナイゼーション』(2014)に由来する。一般的に、相当期間にわたり実際の成長が潜在成長より低い状況のスタグネーションが持続し、消費者物価水準が下落するデフレーションを迎える状況を意味する。これに対し通貨当局は政策金利をゼロ水準に下げて量的緩和など非伝統的な通貨政策で対抗している。1999年に日本で日本化現象が表れた後、米国と欧州の国々でも程度の差はあるが、似た状況を迎えた。さらに懸念されるのは、今まで世界経済の成長動力として高い経済成長率とインフレーションが特徴の一部の新興国でもこのような傾向が表れているという点だ。

いくつかの要因がこのような結果を招いた。国家債務を過多に増やした不適切なマクロ政策対応、遅れた金融構造改革、産業競争力の低下、過度な規制と市場の硬直性による生産性低下、高齢化…。このような低成長パターンを世界経済のニューノーマル(new normal)と見なし、マクロ政策の組み合わせと構造改革でも解決できないものと考えるべきではない。低成長が続けば賃金上昇および福祉拡充が難しくなり、中産層以下の生活は厳しくなる。このような状況は、開放と国際協力を通じた世界経済の外縁拡大という好循環より、自国中心の孤立主義主張に共感させたりもする。

では、新しい経済現象をどのように解決するべきか。経済不振を打開できる需要拡大政策はもちろん、成長潜在力を高めて不平等の緩和、生産可能人口の拡大、企業と家計の過多負債の縮小、生産性向上のための構造改革が重要だというのは、誰もが認識している模範答案だ。問題は、構造改革が各国の政治・社会的状況によって履行が容易でなく、政治的争点に飛び火する可能性が高いという点だ。

世界経済の活力を取り戻すことができる白馬に乗ってくる新しい革新を期待してみる。IMFなど国際機関が世界経済成長予測値を上方修正しても、実際の成長値を下回るような楽しい想像をできるかもしれない。そうでなければ、米大統領選挙の結果、開放と貿易を通じたグローバル協力よりも自国中心の強力な保護主義を擁護する候補が当選したのを理由に、成長予測値を下方修正する最悪のシナリオが現実化しないことを切実に期待するのが、より現実的であろう。

チェ・ヒナム世界銀行常任理事