韓経:韓国ING生命の買収をためらう太平生命…中国が投資規制か、THAAD報復か

  • 2016年8月9日

中国の太平生命が韓国のING生命買収戦から退くという話が伝えられた8日、投資銀行(IB)業界の関係者は「中国政府のTHAAD(高高度ミサイル防衛体系)報復指針に基づくものなら国内のM&A(企業の合併・買収)市場はかなり冷え込む可能性がある」と懸念を表した。中国企業が買収候補として参加する他のM&A取引にも打撃が避けられないという見方が出ている。

◆緊張するMBKパートナーズ

太平生命は当初、ING生命買収候補のうち取引終結の可能性が最も高い候補に挙げられていた。中国5位圏の国営保険会社で、資金調達能力や大株主適格性の審査を通過する可能性が最も高いと評価されたからだ。母体の中国太平保険グループ(CITH)は香港株式市場の上場企業であるうえ、最近の事業年度に1兆ウォン(約920億円)以上の純利益を出した。

買収候補として太平生命の唯一の短所は、中国政府の影響から自由でない国営企業という点ほどだった。IB業界の関係者は「買収戦の初期にはあまり見えていなかった政治リスクが現実化した」と話した。

太平生命の買収放棄でING生命売却を推進中のMBKパートナーズの内心は複雑になった。ほかの2カ所の買収候補がこの機会に買収価格を低めようとする可能性が高いうえ、買収戦に最後まで参加するかどうかも不透明になったからだ。

買収の意志が最も強いと見なされてきた中国系私募ファンドJDキャピタルは、海外企業が韓国国内の保険会社を買収するためには保険業を営まなければならないという金融機関支配構造に関する法律規制のため、適格性の審査を通過できないという予想が多い。このような弱点を補完するため最近、香港の小型生命保険会社アジアスを買収したが、同社が3兆ウォンにのぼる買収資金を調達できるかどうか懐疑的な見方が少なくない。

復星グループの場合、資金力はあるが、国内買収戦に参加しても途中で放棄する事例が多く、買収の意志を高く評価しない雰囲気だ。MBKパートナーズは「太平生命から買収戦に参加しないという通知を公式に受けていない」とし「予定通り3つの候補が参加する形で調査が進められている」と明らかにした。

◆中国の海外M&A規制が理由?

中国政府が人民元の急落を防ぐために中国企業の海外M&Aにブレーキをかけている点が、太平生命がING生命買収を放棄した背景だという分析も出てくる。4月に中国安邦保険が米スターウッドホテルチェーンに対する140億ドル規模の買収オファーを撤回したのと同じという説明だ。安邦保険は当時、「いくつかの市場状況のため買収オファーを撤回する」と明らかにしたが、市場では中国政府がスターウッド買収にブレーキをかけたという見方が強かった。

中国インターネットセキュリティー会社の奇虎360が推進した米ナスダック市場上場廃止も中国商務省の反対で突然延期された。上場廃止のためには約93億ドルにのぼる人民元がドルに両替されて海外に出るという理由だった。

4月初めにアリアンツ生命買収を発表した安邦保険もまだ金融委員会に大株主適格性審査を申請せず、背景に関心が集まっている。

安邦保険はアリアンツ生命に先立ち、昨年初めに東洋生命を買収する時は買収発表(2月)直後の3月に適格性審査を申請した。金融委の関係者は「書類作成に時間がかかるということだけで、政治的な理由で買収を放棄するという話はまだ聞いていない」と述べた。