韓経:【コラム】韓国人が世界を見る目

  • 2016年7月15日

この数日間、韓国は東アジアの激変を経験している。韓国自体が米国のTHAAD(高高度ミサイル防衛体系)を配備することにしたうえに、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所(PCA)では中国が南シナ海で進めている政策は違法という判決が出された。ともに中国の登場という事実がある。

正確にいうと中国の「登場」は誤った表現だ。過去中国は世界で最も富強な国だったからだ。中国はそのような位置を取り戻そうとしているだけだ。このような状況になったのは、ある時点に中国が欧州に遅れを取ったという歴史的な事情があるからだ。それは16世紀の欧州の大航海時代からだ。欧州より先の明の初期に鄭和の大航海があったが、その後に閉鎖体制に転じた中国は欧州に遅れを取った。19世紀にはあらゆる屈辱を経験した後、半植民地に転落し、20世紀に入って日本の侵略を受けた。その結果、共産革命が起き、国が災難に包まれたが、1970年代末以降に資本主義に転換し、高度成長が可能になった。

中国の高度成長は、従来の世界資本主義体制を受け入れ、後発国としてそれに参加することで実現した。いま力が強まると、その体制を変えることを望んでいる。これには抵抗が伴うしかない。そこには従来のヘゲモニー国の米国との衝突がある。

こうした構図の中で韓国の事情はどうか。これも長い歴史的な背景を持つ。韓国は中国が支配する東アジアで「文明国」として生き残ることができた。それなりに情勢を見る目があったからだ。朝鮮初期の「疆理図」は鄭和の大航海より時期的に前の地図で、当時、朝鮮が世界について知っていたことを示す。しかし中国との朝貢関係の下で閉鎖体制に向かった朝鮮王朝は、世界の中で自らの位置を見る能力を失った。19世紀に米国が朝鮮に開港要求をした時、「その問題は中国に尋ねるべき」と答えたが、これは米国人の間に韓国人の世界観として刻印された。開港期には世界を見る能力がある程度は生じたが、日帝強占期にまた失うしかなかった。

光復(解放)後、米国のヘゲモニーの下で形成された世界政治・経済秩序は韓国に有利に展開した。それは脱植民地化、自由貿易、民主化を内容とした。そのような構図で韓国は独立国となり、産業化と民主化も実現することができた。その中でも成功のカギは断然、産業化だ。産業化の過程で韓国人の姿も変わった。韓国は「冷戦の先鋒」だったが、産業化の過程で「世界の商売人」に変わったといえる。商売人は情勢を読み間違えれば滅びる。

中国の登場による東アジアの荒波は、韓国が世界情勢を読み取る能力をテストしている。米国と中国の衝突で二者択一をしろと言うのなら、韓国は米国側に立つしかない。今の韓国が「史上最も良い時期」を享受することになったのは、米国のヘゲモニーの下で形成された秩序のおかげだ。これに対し中国は民主化されていない開発途上国であるうえ、隣国を同等に扱わないDNAを持つ国だ。そこに2世紀近く屈辱を受けながら形成された中国人の精神世界もある。

こうした長期的な問題と中短期的な問題を区別するのも重要な能力だ。韓国に何よりも重要な北朝鮮の核問題解決には、米国と中国の利害が一致する部分もある。韓国はその共通点に執拗に食い込み、経済的な国益を失わずに平和を達成すべきではないだろうか。このように見ると、現政権が初期は中国にあまりにも接近して米国とは距離を起き、今になってまたTHAADを配備して中国を怒らせるのは賢明だと言い難い。

しかし問題は政府だけにあるのではない。政府の中・短期的な対処が間違っていると批判する人たちも、長期的な問題をどれほど真剣に考えたのかを自問してみるべきだ。全般的に韓国人の世界を見る目はその歴史が浅く、それだけ不安定だ。韓国はそのような問題を早く克服してこそ「世界の商売人」として生きていくことができる。

イ・チェミン延世大名誉教授・経済学