【コラム】韓国市場経済の敵たち(1)

  • 2015年6月15日

最近、韓国経済がいくつかの悪材料に苦しんでいる。円安の衝撃で輸出が激減し、家計の負債が1100兆ウォン(約120兆円)を超えた。現代自動車など主力企業の収益性も落ちている。最も懸念されるのは市場経済の原則が挑戦を受けているという事実だ。

市場経済は個別経済主体の合理的な経済行為を前提とする。消費者は効用最大化を、企業は利潤最大化を追求することで、市場経済が円滑に作動する。アダム・スミスの「見えざる手」が資本主義が純機能するよう誘導する。しかし最近は経済論理よりも都合のよい主張が横行する様相だ。ポピュリズム、不平等、歪んだ政治こそが健全な市場経済を阻害する主犯だ。

ポピュリズムによる資源配分の歪曲現象が深刻だ。最低賃金引き上げをめぐる議論が代表的な例に挙げられる。最低賃金を上げれば勤労者の賃金が増え、消費余力が高まり、内需が活性化するという論理だ。漸進的な最低賃金引き上げは低所得層の所得を増やすプラスの効果がある。しかし急激な引き上げは零細企業の経営に及ぼす衝撃が少なくない。また、外国人労働者に支給される最低賃金引き上げ分はほとんどの海外に移転する可能性が高い。最低賃金制の効果を政治的に膨らませるのは適切でない。

減税至上主義も危険だ。富裕層減税論は、「落水効果」を通じて成長の果実が中・下位階層に広がるという論理を展開する。「満潮がすべての船を浮かせる」という成長論理だ。しかし減税が消費と投資を促進し、経済成長を引き上げたという実証的な証拠は十分でない。過去の政権の法人税率引き下げが投資の増大につながったとみるのは難しい。米カリフォルニア州はジェリー・ブラウン州知事の所得税率引き上げで財政赤字を減らし、安定した成長街道を走っている。2度の大規模減税にもかかわらず、ジョージ・W・ブッシュ政権の経済成績表は惨憺たるものだった。2007年の住宅市場バブル、2008年の金融危機ばかり記憶に残っている。減税は経済問題の万病に効く薬ではないということだ。