韓経:<韓国版の量的緩和議論>セヌリ党「韓銀、債券買え」vs韓銀「発券力の乱用」

  • 2016年3月30日

セヌリ党が総選挙公約で「韓国版の通貨緩和案」を持ち出した。康奉均(カン・ボンギュン)セヌリ党共同選挙対策委員長が29日、中央選挙対策委員会議で提示した案は2つだ。▼産業銀行が企業の構造調整に積極的に取り組めるよう韓国銀行が産業銀行の債券を買い取って▼家計負債の構造改善のために都市銀行の住宅担保融資証券を直接買い取るようにすべきだということだ。中央銀行がお金を印刷して直接、不良企業の構造調整や家計負債の解決などに活用するという破格的な内容だ。危機克服の代案という評価もあるが、「政界の発券力の乱用」を憂慮する声も出てくる。最終決定する韓銀金融通貨委員会は総選挙直後に顔ぶれが相当変わる。中央銀行の役割をめぐって政界と韓銀の論争が大きくなる可能性もある。

◆「伝統的な通貨政策ではだめ」

康委員長が緩和政策を総選挙の公約として持ち出したのは、基準金利の引き下げなど従来の通貨政策では韓国経済が年3%前後の低成長から脱出するのが難しいという判断からだ。

康委員長は「グローバル金融危機後に米国が過去は正常ではないと考えていた金融緩和をして経済を生かし始め、日本・欧州連合(EU)が後に従っている」として「韓国も伝統的なマクロ経済政策に安住している時ではない」と話した。

大企業の構造調整でお金が詰まっている部分を韓銀が開放しなければならないとも強調した。また「住宅市場を萎縮させれば家計負債の雷管がさく烈する」として「韓銀が都市銀行の住宅担保融資を買い取って先進国のように20年以上の分割償還をさせるようにすれば、住居価格が昔のように上昇しなくても問題がない」と説明した。

◆「危機時の劇薬処方」議論も

セヌリ党案は従来の政策と比べ破格的だという評価だ。特定債券を韓銀が直接買い入れるようにするためだ。韓銀関係者は「米国・日本・欧州などの量的緩和は公開的な流通市場で物量を定めておいて中央銀行が債券を買い入れる方式」としながら「セヌリ党の案は発券力をさらに直接的に活用すること」と説明した。

韓銀が債権を直接買収した事例は過去にもあった。通貨危機直後の韓銀は、不良債権の整理基金債権と預保基金債権を買い入れて構造調整を後押しした。カード事態で債権市場が不安だった2005年にも預保債を買収したことがある。

ただし当時は最終的な貸付者である韓銀が直接乗り出さなければならなかったほどの危機だった。ある民間研究院の関係者は「政府としてはお金を印刷して資金を調達するのが最も容易だ」として「だが、発券力を乱用すれば結局、国民の負担に返ってくる」と憂慮した。ばらまいたお金の分だけ貨幣価値が下がってインフレーション(物価上昇)を誘発しかねないからだ。韓銀によれば、このような副作用のために主要先進国では中央銀行の債権の直接買い入れが法的に禁止されていたり、非常に難しかったりする。

◆家計負債の負担はどうするか

インフレ圧力が大きくないだけに、これを検討してみる必要があるという見解もある。オ・ソクテ ソシエテジェネラル証券エコノミストは「米連邦準備制度理事会(FRB)は民間会社の住宅抵当証券を買い取り、日本銀行は株式も買っている」として「国策銀行である産業銀行の債権を買い取るという点、償還計画があるという点で比較的保守的な政策」と評価した。

ただし政策効果については議論する余地が残っている。民間研究所のまた別の関係者は「資金調達案よりも構造調整をどのようにすれば効果的なのか議論することが優先」と話した。住宅担保融資の買い取りに関しては家計負債の急増という副作用も考慮しなければならないという指摘だ。家計借金の負担が消費萎縮の憂慮と指摘されるとすぐに今年、政府は家計負債減少政策を出した。一部では政界の公約であるだけに直ちに実現の可能性は高くないとみた。だが与党の緩和政策の注文が韓銀に追加の金利引き下げを圧迫する姿になることができて韓銀の悩みが大きくなった。