<過去最高の韓国格付け>「負債返済能力が高いということだけ…経済体力評価ではない」

  • 2015年12月21日

国際格付け機関ムーディーズが19日に韓国に付与した「Aa2」は、フランスなど最優良国家だけが可能だった格付けだ。経済が「非常事態」という政府と市場の一般的認識とは乖離がある。

専門家の間でも、格上げは韓国経済の実際の体力とは距離があるという指摘が出ている。「負債(対外債務)返済能力」を優先して見る格付け機関の特性上、家計負債の急増、企業実績の悪化など隠れた国内の悪材料を診断していないという点でだ。すでに韓国経済は通貨危機当時、格付け機関の遅い格下げで苦労することになった。

◆信用リスク指標が良いというが…

ムーディーズが韓国の格上げ要因として提示したのは「堅調な信用リスク指標」だ。国内総生産(GDP)比の対外負債が30%水準と良好で、GDPに対する短期外債比率が20%台と低い点などだ。

LG経済研究院のシン・ミンヨン経済研究部門長は「格付け会社は国や企業が外貨建てで発行した債券をどれほどよく返せるかを主に評価する」と説明した。ムーディーズが前向きな要因として評価した国家負債もGDP比30%台後半と、90%を超える経済協力開発機構(OECD)加盟国平均より良好だ。

専門家は表面上の信用指標だけでは実物経済を判断するのは難しいと指摘する。例えばムーディーズは韓国の統合財政収支(中央政府の総収入-総支出)が過去5年間、GDPに対して平均1.1%の黒字を出し、Aa3以上の国(原油生産国除く)の中間値(1.3%の赤字)を大きく上回ると説明した。

しかし統合財政収支には国民年金基金など4大社会保障性基金が含まれ、正確な財政状況を判断するのは適切でない。急激な高齢化のために基金財政が急速に悪化し、統合財政収支はすでに今年、赤字に転じたのに続き、今後さらに赤字幅が膨らんでいくというのが政府の推算だ。

◆隠れた潜在リスク要因は看過

市場が感じる経済状況とムーディーズの格上げの間の乖離にはもう一つの要因がある。まず速い高齢化、福祉支出の増加だけでなく、未来の統一費用発生による潜在財政悪化要因は評価基準から除外された。

企画財政部は最近、長期財政見通しでこうした要因を反映し、GDPに対する政府負債比率は昨年の35.9%から2060年には62.4%まで高まると予想した。新しい福祉制度を導入したり構造改革が失敗する場合、OECD平均水準の90%に近づくという見方を示した。

実物経済が危機状況にある点もムーディーズの評価には反映されなかった。韓国銀行(韓銀)によると、韓国経済を牽引してきた製造業の売上増加率は2012年に2けたから1けたになった後、昨年は1.3%まで落ちた。造船、鉄鋼、石油化学など主力産業は売上高および収益性の下落ペースが速まった。

◆1998年の通貨危機のトラウマ

専門家は「債務返済能力」だけでは韓国経済の未来を診断できないと指摘する。格付けを実際の経済体力と「錯覚」して失敗した例はいくらでもある。通貨危機直前の1997年3月、ムーディーズは韓国にA1「安定的」と評価し、救済金融申請直前まで格下げしなかった。結果的に韓国は高い格付けに安心し、危機に備える機会を失った。

権泰信(クォン・テシン)韓国経済研究院長は「格付け機関に尋ねると、『格付けは過去の統計値を見るものであり、1年後を予測するものではない』と弁明した」とし「経済体質を改善できず輸出減少など危機を迎えている現在の状況と1997年直前が重なる」と懸念を表した。格上げに喜んで未来のための構造改革を先送りしてはいけないという忠告だ。