【寄稿】中国のノーベル賞、うらやむばかりか=韓国

  • 2015年10月26日

中国中医科学院の屠ユウユウ氏のノーベル生理学・医学賞受賞に、中国が沸きかえっている。今年85歳の女性で30代後半からマラリアを研究し、1971年夏に中国の古典医書である『肘後備急方』に書かれていた「ケトンスク(ヨモギの一種)がマラリアに使われる」という処方に基づき治療成分であるアルテミシニンを見つけ出した。

同じ分野研究者のノーベル賞受賞のニュースに万感の思いが交差した。伝統医学分野からノーベル賞が出てきたということが誇らしかった。だが韓国ではなく中国が先に関連分野でノーベル賞を受賞したのは残念に思わざるを得ない。

屠教授のノーベル賞受賞はそれだけの環境が後押ししていた。中国医学に対する大規模研究開発(R&D)投資、6つの傘下病院と14つの傘下研究所を率いた中国の伝統医学分野の国家研究機関である中国中医科学院、中医と洋医の間の相互開放的な雰囲気、これをベースにする巨大な中医学産業などが土台に敷かれている。

韓国も中国の先例を参照し、不足した点を満たしていかなければならない。まず「漢方医学は非科学的」という論争はやめなければならない。医療の職能間の争いによって韓国の大切な伝統知識を自ら卑下することはあってはならない。

戦略的な投資も拡大しなければならない。今は核心的な単一懸案について集中的に人材と予算などが投入されなければならない。中国のマラリア治療物質の開発も戦略的投資の産物だった。

優秀な研究者グループを育てることも、また重要な課題だ。中国国内では屠氏のノーベル賞受賞が研究者グループに対する共同受賞と同じだと考えている。韓国も大学や研究院、企業研究所にある優秀で検証された研究者が共同で研究グループを形成できるよう支援しなければならない。

中国のノーベル賞受賞はただの一度の優れた成果で実現したわけではない。屠教授は1967年に研究を始めて1971年に成果が出てきたし、それが検証・確認されるのに40年余りかかった。韓国が今回のことを機に漢医薬分野のR&Dの不足した点などを補完していけば、その期間よりも短縮させることができるだろうと思われる。だが、すぐにでもノーベル賞を受賞しなければならないことのように軽はずみに振る舞っているばかりなら、数年が流れた後も、うらやむばかりかもしれない。

イ・ヘジョン韓国漢方医学研究院院長