韓経:韓米首脳会談が残した4つの気がかり…専門家の分析は

  • 2021年5月25日

外交・安保専門家らは、今回の韓米首脳会談が韓米同盟を復元し、経済・技術同盟など今後の発展方向を提示したと評価した。米中の間で顔色をうかがいながら「あいまいな中立」を主張していたところから米国側に傾いたという説明だ。同時に韓米同盟の役割を韓半島(朝鮮半島)からグローバルパートナーシップに1段階格上げさせた会談だったと分析した。キム・ホンギュン元韓半島平和交渉本部長は「インド太平洋問題で韓国が米国と同じ声を出すことにし同盟が一歩進んだ」と話した。韓米同盟の大転換を成し遂げたという評価を受ける韓米首脳会談が残した4つの気がかりを整理した。

(1)なぜ外交路線旋回、対北朝鮮政策共助得ようと「安米経中」の綱渡りひとまず後退

今回の首脳会談で最も注目されたのは「同盟の帰還」だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権はこれまで、安保は米国、経済は中国という形で中立路線を歩んできた。今回の会談では反中路線参加までではないが、米国側に確実に中心軸を移した。韓米協会のチェ・ジュンギョン会長は「これまでの安米経中を強調していたところから流れが変わったという気流が見られる」と診断した。

これは北朝鮮との関係改善に向け避けられなかったという分析が出ている。文大統領が残る1年の任期の間にバイデン政権と対北朝鮮戦略を合わせていくためには米国の関係設定要求に応じないわけにはいかなかっただろうという見方だ。代わりに韓米は対北朝鮮関係を板門店(パンムンジョム)宣言とシンガポール声明を基礎に外交的対話で解決していくことで合意した。キム本部長は「現実的に受け入れるほかなかっただろう」と説明した。

グローバルサプライチェーン再編過程で技術的優位を占めるために米国側に傾いたという分析もある。梨花(イファ)女子大学北朝鮮学科のパク・ウォンゴン教授は「米国は同盟国とともにグローバルデジタルコネクティビティパートナーシップを通じて世界技術標準を新たに作るという目標をすでに明らかにした。ここに参加しないということは技術的優位を放棄することになりかねない」と強調した。

(2)日米首脳会談の時より弱い中国の反応

今回の会談では中国を名指ししていないが、中国を刺激しかねない言及が多かった。台湾、南シナ海問題などが共同声明に含まれ、韓米ミサイル指針も解除された。中国側の公式反応は韓米首脳会談が開かれて2日が過ぎた24日に出された。中国外交部の趙立堅報道官は定例会見で「台湾問題は純粋な中国内政。いかなる外部勢力の干渉も容認できない」と批判した。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は「中国側と必要な疎通を十分にしている」と説明した。

今回の反応は先月の日米首脳会談の時と比較すると強度が弱い方という評価が出ている。当時中国外交部は「中国の内政に深刻に干渉し国際関係基本準則を深刻に違反したもの」と強く反発した。日米共同声明には台湾問題のほかにも香港とウイグル、チベット、南シナ海、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題なども取り上げられた。

経済社会研究院のシン・ボムチョル外交安保センター長は中国側の反応に対し、「いま韓国を攻撃すれば米国ともっと近づきかねないという点を心配しているもの。韓国から半導体の供給を受け続けなければならないなど戦略的側面からも強硬対応はしないようだ」と説明した。だが今後韓国企業に対する非公式な圧迫に出る可能性は提起されている。

一部では韓米ミサイル指針改定は中国に大きい影響を与えはしないと分析した。チェ会長は「在来式ミサイルはゲームチェンジャーではないと判断し中国が大きく神経を使わないだろう」と話した。

(3)トランプよりも大きな実益取ったバイデン

今回の首脳会談をバイデン外交の勝利とする見方も多い。公開的に同盟に費用を圧迫したトランプ前大統領より洗練された外交で説得するバイデン方式が通じたという説明だ。今回の訪米で韓国企業は44兆ウォン規模の投資を手土産にした。特に韓国企業の投資は民主党劣勢地域であるテキサスやアトランタなどに集中する予定だ。文在寅政権は残り任期が1年だが、バイデン大統領は就任初期であるだけに時間もバイデン大統領の味方だったという分析が出ている。来年3月の大統領選挙を目前にした時点で文大統領が中道層支持を得るために韓米外交で成果が切実だったという理由からだ。

シン氏は「今回の首脳会談は米国の精巧な外交の神髄を見せたもの」と評価した。その上で「共同声明にクアッドを含めたがあえて台湾まで言及したのは残念。韓国の立場ではカードを一気に全部使ったようだ」と話した。

一方的に米国が利益を得たとみるのは難しいという分析もある。パク教授は「米国が以前のように経済と安保公共財を確保した後に関係を維持するのではなく、同盟国に一定の持ち分を分けた上で費用と責任を要求する協業体系が構築されたもの。米国に対する投資もやはり新しい技術と市場を得るもの」と説明した。

(4)鄭義溶が言及した「ワクチンスワップ」抜けた理由

5~6月のワクチン不足を乗り越えられるほどの新型コロナワクチンを確保できなかったことは残念な点に挙げられる。特に外交部の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官が言及したワクチンスワップが抜けた理由が気になる。専門家らは最初からこれは「鄭長官の失敗」と評価した。ワクチンスワップは米国の政策方向と合わなかったという批判だ。米国は使わない8000万回分のワクチンを、ワクチン確保が難しく新型コロナウイルスの状況が深刻な同盟国に分けるという計画だ。韓国はこれに該当しないと分析される。パク教授は「米国が防衛公約を結んだ国は67カ国で、このうちワクチンを要請した国が40カ国。その中で韓国の防疫状況が最も良い」と説明した。

それでも韓国軍を対象に55万人分のワクチン供給を約束したのは米国を訪問した文大統領を礼遇したものと分析される。北韓大学院大学校のヤン・ムジン教授は「米国の立場では韓国が投資したのだからワクチンを与えるべきという論理は成立しない。同盟として『フレンドリーなジェスチャー』程度だけ必要と判断したのだろう」と説明した。

協議が進行中だった内容をあらかじめ公表した韓国政府のミスが大きいという指摘が出た。シン氏は「韓国側の期待が大きかったことは理解するが、合意していない内容をあらかじめ公開したのは失敗」と話した。